| 大会レポート
PGカップin富士山2021
競技委員長:岡田 直久
JPAナショナルリーグ第2戦が新緑のまぶしいウイングキッス朝霧で開催されました。
前日の天気予報では3つの気象モデル(ECMWF,GFS,ICON)ともに予報が異なっているものの、ただ、渋めの展開になることだけが一致している予想となっていました。
前日に集まった選手たちは、大会あるあるの「大会前日に良く飛べる」が当てはまったこともあり、冷静に考えれば可能性のあるのは明日の土曜日のみと言う状況の中、祈りにも似た期待をもって当日を迎えることになるのです。
1日目
初日の朝を迎えた朝霧、上空には青空も見えました。状況は悪くないのか?、不安と期待が交錯します。
受付に現れる選手の表情は一様に明るく、それぞれが思い描いていた天気とは違っていたことを物語っていました。もちろん、考えていたよりも良い方向に変わっていたということです。7時30分からの受付が済み次第、選手はテイクオフへ移動して行きます。タスクコミッティーは気象条件を考慮しつつ、今日の条件でできうるタスクをポジティブに考えていました。
9時からテイクオフにおいて開会式及びジェネラルブリーフィング。この時点で既に主稜線に取りつく機影が見え、期待が増し始めました。サーマルトップを予想するのは難しかったものの主稜線には乗れそう、タスクコミッティは色々と考慮したうえで、ビッグシリンダーを使った主稜線往復に沖だしを入れた三角パイロンを周回しアリーナへゴールする39Kmのタスクをセットしました。また、タスクは今回もナショナルリーグ、N2リーグ共通となりました。
今日の前山は、早い時間からスタックすることなくトップアウト。このようなときは早めに出るに限ります。南風が強くなるにつれ、テイクオフはクロスウインドとなり出にくくなるからです。
競技委員長のボヤキ:その1
スタートまでに1時間以上はあったものの、全員がスタートに間に合わなかったことは少し残念でした。ゲートからテイクオフゾーンに入るということは、相撲でいえば土俵の外から仕切り線に向かうようなものです(と、私は思っています)。風との間合いをはかり、テイクオフをするわけですが、相撲でも何回は見合って間が合わないことがあっても、いずれ「待ったなし」となります。クリフランチ、クロスウインドという難しさはあったとしても、1,2回インフレーションするなかで、風との間合いは読まなければなりません。特にトップリーグであるナショナルリーグではそのような心構えが求められるのではないかと思います。
さて、コンディションは心配に及ばず、ほとんどの選手が主稜線をトップアウト。強めの南風、間欠的にガツンと突き上げるサーマルに悪戦苦闘する場面もありましたが、テンポよくレースは進行。比較的「きつい」コンディションのなか、あきらめず前に進む光景はまさに「戦い」だったと思います。
競技委員長のボヤキ:その2
どうしても選手間で技術差はあるため、レベル2,3といった判断をするのは非常に難しいものです。今回も人によっては「レベル3」とコールをしたかったかもしれませんが、まずは、フライト続行可能かどうかは各自が判断すべきことかと思います。フライトは義務ではありません。もちろん、選手の多くに危険が及ぶような状況下では競技委員長が判断を下します。
そんななか、トップ集団の扇澤選手、中村選手、藤野選手はどんどんとレースを引っ張っていきます。
冬の朝霧をさんざん飛んでいるメンバーですが、この時期は木に葉っぱが多く茂り、日も長く、日の傾き方も違い・・イメージ作りには修正も必要となります。
(中略)
レースは終盤、トップ集団の中で低くなった藤野選手は、誰の目にも「終わった・・・」と映ったはずでした。天子岳からハイスピードでゴールに向かう扇澤選手は勝利を確信していたはずです。が、扇澤選手の目に飛び込んできたのは、ゴール上空で高度処理をする藤野選手の姿でした。なんと藤野選手は、低くなりながらも反射板で生き延び、会心のファイナルグライドを決めたのでした。
その後もゴールには続々と選手が流れ込みました。ゴール後の選手の顔は、風との格闘を終えた安堵感と達成感でとても良いものでした。
午後のエリアはやや南西風が優勢となりましたが、主稜線で一人になっても最後まであきらめなかった寒風山の籾山選手がゴールを決め、今日のレースは幕を閉じました。
2日目
2日目はあいにく朝から雨。初日の結果で順位が決まりました。
優勝は藤野選手。Jリーグから通じて国内トップリーグでの優勝は初。
「長いことやっていれば良いことはある」
そんな言葉が印象的でした。競技事業部長ということもあり、選手でありながら様々な雑用を一手に引きうけ大会に出る姿は『多くの方に大会の楽しさを知ってほしい、日本で大会を盛り上げたい』という男気に他ありません。おめでとうございます。
女子では宇都宮対決を制した吉川選手が優勝。
N2では今井浜の齊藤選手、岩野選手が1,2フィニッシュ。女子も今井浜、江草選手が優勝となりました。
選手のみなさん、お疲れ様でした。また、お手伝いいただきましたスタッフのみなさま、ありがとうございました。
表彰式
N2リーグ総合
優勝 No.314 斎藤 光秋 GINGLIDERS BONANZA2
準優勝 No.313 岩野おさむ ADVANCE SIGMA11
第3位 No.329 江草 幸子 ADVANCE SIGMA10
http://jpa.sakura.ne.jp/2021compe/fujisan/0515/n2_t1all.pdf
N2リーグ女子
女子優勝 No.329 江草 幸子 ADVANCE SIGMA10
http://jpa.sakura.ne.jp/2021c.../fujisan/0515/n2_t1women.pdf
N2リーグチーム戦
※今回は有効チームが1チームのみのためチーム戦は無効としました
ナショナルリーグ総合
優勝 No.20 藤野 光一 NIVIUK ICEPEAK X-ONE
準優勝 No.48 扇澤 郁 GINGLIDERS LEOPARD
第3位 No.4 中村 浩希 OZONE ENZO3
第4位 No.9 稲見 祐二 OZONE ENZO3
第5位 No.6 正木 晋 NIVIUK ICEPEAK EVOX
第6位 No.7 伊澤 光 NIVIUK ICEPEAK EVOX
http://jpa.sakura.ne.jp/2021compe/fujisan/0515/nl_t1all.pdf
ナショナルリーグ女子
優勝 No.13 吉川 朋子 OZONE ENZO3
準優勝 No.19 吉原 紀子 OZONE ZENO
第3位 No.38 関根 睦 OZONE LM6
http://jpa.sakura.ne.jp/2021c.../fujisan/0515/nl_t1women.pdf
ナショナルリーグチーム戦
優勝 Team EVOX(正木、伊澤、藤野、平松)
準優勝 とちおとめ(吉川、吉原、田村)
第3位 チーム カンフー(籾山、田邊)
http://jpa.sakura.ne.jp/2021compe/fujisan/0515/nl_t1team.pdf