高嶺カップ2015

レポート 鈴村 恵司

長野県の最南端、愛知県との県境に近い平谷村で行われている高嶺カップ(たかねと呼称します。)。今年は2本のタスクが成立した。今年は、“ユダン”と“ガマン”の2つの言葉で象徴される大会となった。

【一日目】
前日の日中発表の予報は朝から雨、良くても午後曇り。夕方の更新で晴れに変わった予報もあったが、移動中で情報を得ず、重い気分で集まってきた選手も多かったろう。「受付はゆっくりするとして、あんな山奥のエリアで何して時間を潰そうか」という気分の選手達を出迎えたのは晴天の朝だった。ユダン禁物である。


だからと言って、タスク成立が保証されているわけではない。南西風を基本とする高嶺山エリアに対して、朝の天気予報は東風強め。いささか苦手な風向だ。フリーフライトなら問題ないが、競技となるとちょっとタスクが組みにくい。東風ではLD付近のリフトが発生しにくいことが多く、タスク距離が伸ばせる高嶺山山頂WPも使いにくい。ここは北西方向にあり、強い東風に捕まるとLDに届かなくなる可能性もあるからだ。


TOに上がり開会式、ジェネラルブリーフィング。雲の形は確かに東風。しかしTOに吹き付ける風は“いつもの高嶺”の西風。タスクを起案する競技委員長(私です。)、それを吟味するコミッティ、悩ましい気象条件の中、西風ベースを想定するものの万一の東風への急変にも構えるといったタスクを、N2、チャレンジにそれぞれ設定した。N2が実質19.1km、チャレンジは実質12.5kmの距離である。


■チャレンジリーグTASK1 シリンダ半径400m
D21→B04(start600m)→B04→B25→D22→B04→B25→D22→B04→B25→D22→A42→B18→B26→B09→A42(ESS500m)→A42



■N2リーグ TASK1 ※(  )内;シリンダー半径
D21→B04(ESS600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B04(400m)→B02(400m)→B28(600m)→B12(1500m)→B18(400m)→B04(400m)→B09(400m)→A42(ESS500m)→A42(400m)



ウィンドダミーが順調に上昇し、10時45分にはウインドウオープン。11時30分デパーチャーオープンのゴールレースが開始された。
腕に自信を持つ選手からテイクオフ。その選手達を待っていたのは“激シブ”のコンディション。雲に日射が遮られた時間帯もあり、谷底深くまで沈んでしまいLDに戻らされる選手も出た。それでも12時過ぎ当たりまでガマン出来た選手には、の上限高度の上がったサーマルや、
雲底につけると沈まずに移動できる条件が与えられた。




N2の藤野選手が12:30にゴール。チャレンジの芦田選手はそれに先んじて12:22にゴールしている。ウインドオープンとほぼ同時にテイクオフした藤野選手はそれなりのガマンのフライト。一方、芦田選手はあまりガマンせずにスイスイとタスクをこなすことが出来たのではないか。(間違っていたらごめんなさい。)
N2リーグは9名がゴール。オープンクラスを含めると14名。大会としてはまずまずの結果。チャレンジリーグは二位の飯塚選手までの2名がゴール者で少なめの結果。3位の岩瀬選手、最終WPの20m手前でナビバリオが通過音を(なぜか)出してしまったそうで無念のノーゴール。
チャレンジリーグの選手がN2リーグ選手に比べれば経験値が低いのは仕方ないところ。今日のようなタスクで競技することで、待つべきところは待ち、移動はキープハイといった、渋い条件でのタスクのこなし方を学んでゆけばもっとゴール者は増えるはず。

試合の展開に戻る。時間の経過とともにテイクオフ側の雲が力強さを増した。リフライトの選手達が、「一本目はガマンのフライトだったけど、このままスイスイ、ゴールできるんじゃないか」とユダンし始めたころ、LD側でフライトしている選手から“雨がちょっと降ってます”の連絡が入る。気が付くとLD上空の雲は黒味を帯びており、この後、雨が止む様子はない。少し雨が強く成りかけたところでタスクペンディングを競技委員長が宣言。まだ雨のない高嶺側でフライトしていた選手はトップランしたり、やむなく雨の強まったLDへ向かった。グライダーの速度をできるだけ高くキープし、無駄なブレーク操作を行わない。LD直前のフレアは充分気を付け行い、滑り込むか走り抜ける。結果として、インシデント発生は抑えることが出来た。高度を下げたいのにスパイラル(の終了時点のフレア)も翼端折りも失速につながるから禁止。雨中飛行を強いられた選手はさぞやガマンのフライトであったろう。
雨雲レーダを1時過ぎに確認し、近辺に雨雲は無かった。雨雲の進入予報も4時過ぎとなっていた。ヒョウも降っていたとの選手のレポートもあった。休息な寒気の進入が雨をもたらせたのであって予測は不可能であったのかも知れないが、ダメと思っていたタスクが成立したことに、競技委員長は、ちょっとユダンしていたのではと言われてもしかたない。すいません。
【TASK1リザルトはこちら】


パーティでガマンした人はいなかったと思う。実行委員長のJMB中部とんびいず校長の片桐さんの手製の鳥の燻製を頬張りながら鍋を囲む楽しいパーティとなった。ガマンの量が多いほど会話は弾むものでしょう。
【パーティの様子はこちら】


【二日目】
小雨は夜半まで続いていたが、深夜3:00時には満点の星空に変わっていたそうな。ちなみに隣村の阿智村浪合地区は日本一星空観察に適した場所だそうです。
朝は雲のない真っ青な空。北風予報が気になるものの、今日は“いつもの高嶺”になることは間違いなかった。但し、“いつもの高嶺”には、それに慣れていない選手への落とし穴が含まれていた。
昨日は遠慮した高嶺山頂側のWPを使って、N2、チャレンジで長短はあるものの高嶺側3周、LD側2周の“三角パイロン“タスクを設定。の予定であったが、タスクコミッティから「良いコンディション予報なら長く飛べるタスクをやりたい。」との申し入れがあり、N2はLD側2周を1周+高嶺山頂側までのリターンに変更した。N2リーグは実質29.5kmのロングタスク、チャレンジリーグは、高嶺側3周、LD側2周のコンセプトを維持した18km強のタスクとなった。


■N2リーグ TASK2 ※(  )内;シリンダー半径
D21→B02(SS600m)→B02(400m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B23(1000m)→B16(1200m)→B12(1500m)→B18(400m)→B04(400m)→B12(1500m)→B18(400m)→ B16(1200m)→A42(ESS500m)→ A42(400)



■チャレンジリーグ TASK2 シリンダー半径400m
D21→B04 (START600m)→B04→B03→B02→B04→B03→B02 →B04→B03→B02→B04→B20→B18→B26→B20→B18→B26→A42 (ESS600m)→A42



例によって渋い中、10時30分ウインドウオープン。ゴールレースのデパーチャオープン時刻は最終的に11時30分に設定された。
昨日タスクトップの藤野選手が、何のてらいもなく先陣を切ってテイクオフ。じわじわとそれに続く選手達といった様相。残念ながら耐え切れずにLD向かう選手もいる中、11時30分直前にはコンディションも上がりTO前にガーグルが出来、ゴールレースが展開された。
本日のタスクの要、LD方面から高嶺山頂側へのリターンを奇しくも最初に行ったのは、ゼッケン312 の和田選手であった。レーススタート前の渋い時間帯に高度を失いLDに向かったところLD側のリフトで高度を稼ぎ、高嶺側まで戻ったのだ。こうなれば今日のN2タスクの成立は間違いない。あとはゴール者がどれぐらい多くなるかは風がどこまで強くなってしまうかに依存する。
バレーウインド。高嶺山エリアは北西方向から南東方向、南南西方向から北北東方向の2つ谷が平谷村を中心に十字路のように交差している。尾根より高い位置では影響はないが、風の強まりとともに十字路をバレーウインドが駆け抜けるのが、風が強い時の“いつもの高嶺”だ。局所的に流速が上がった空域は当然、気圧が下がり、強いシンク帯となる。LD側で高度を稼いでも直線的に高嶺側に向かうとバレーウインドの上を長く通過し、高度を失うことになる。バレーウインドに捕まりながら高嶺リターンをあきらめLDに戻った選手も少なからずいた。ただこれは選手のユダンとは言えないだろう。かと言って単なる不運だったですませてしまうのはもったいない。先行する選手がどんなコースをとっているのかの観察できなかったのか、なぜその選手がそのコースを選んだかの分析は行えたか、知識や経験を高めてゆくチャンスでもある。


さて終盤、強まる西風に、主催者側のガマンが始まる。
チャレンジリーグの選手はもう高嶺側にはいない。N2のLDからのリターン組がTO前で低く、強い風にピッチアップしながらあえいでいる。レベル3とは言えないまでも気楽に見ていられるグライダー挙動ではない。こういった時、はたで見ているよりやってる選手の方が冷静で余裕がある。それが判っているから、タスクストップはかけずに見守るしかない。ガマン、ガマン。
2時を過ぎた辺りでサーマルの挙動も少し穏やかになり、風が強いながらもリターン組を安心して見ていられるようになった。

今日もN2トップは藤野選手。今日は1時間16分弱。扇澤選手をして、「藤野にしてやられた」と言わしめたフライトだったようです。チャレンジは飯塚選手が1時間を切り59分のタイムでトップとなった。1000点満点を得て、二日間総合で芦田選手を抜き大会優勝となった。タスク2のゴール者数はN2が13名、チャレンジは4名。
N2の7位、9~13位は女性フライヤーが占めた。女子トップの7位は地元の利も活きたか、田前(英)選手。9~12位の河野、片貝、麻生、小川の4選手はLDからのリターンの段階から集団でデッドヒート。連続してゴールメイクした。11位の河野選手は、一度LD側からの高嶺リターンを仕掛けてバレーに捕まり、ぎりぎりでLDに戻り、再び上げ直してリターンの末のゴールであった。最後のゴール者、星田(苗)選手は、この集団から約30分遅れでのゴールとなったがリードアウトポイントが高く、10位となっている。ゴールレースの場合、トップのフライト時間に対して長くなりすぎるとタイム得点はつかなくなる。しかし、レースをどれぐらいまで先行したかの得点であるリードアウト得点は、一旦、得られれば消えることがない。星田(苗)選手はおそらく、序盤はトップグループ付近でレースを進め、それが成績に活きた。それを上回るリードアウト得点の片貝選手。4位の中村選手と同一得点である。最後は遅れたものの、きっと途中までは4~5位あたりでレースをしていたと想像される。この人、前回の白馬八方からのN2参戦のようです。八方はキャンセルで結果は出ていないが、今後の活躍に期待といったところ。
【TASK2 リザルトはこちら】


二日間総合での大会としての勝者は、N2リーグは藤野選手、チャレンジリーグは二日目で逆転した飯塚選手となった。N2の中村選手、オープンを含めても5位の好成績。扇澤選手のグライダーはともかく、周りの選手の中がEN-D或いはフルコンペ仕様の中、EN-Cグライダーで検討。そして女性、麻生選手、片貝選手が5位、6位に入っている。





「来年、大会が開催できたら、また参加して下さい。」実行委員長の片桐さんの閉会式での挨拶の言葉。去年も同じようなコメントだった。事前準備、対外交渉、スタッフ集め、大会を開くのは大変だ。そして、今年もスタッフでサポートして下さったJMB中部とんびいずのメンバーにも感謝したい。
とはいうものの、来年も同時期に開催されることが決まったようです。選手の皆様、来年も参加のほど、よろしくお願い致します。



2015年PNLグランプリは最終戦四国三郎へ!


八方尾根で開催された2015PNLグランプリは残念ながら不成立でしたが、最終戦となる四国三郎ジャパンカップへタイトルが持ち越しとなりました。

グランプリ対象大会は、ランキング計上ポイントが1.1倍となります。現在4本計上となっている2015PNLランキングも、あと一本成立で合計5本計上となります。これで、最終戦で大きく順位に影響が出てくること必至。目が離せられません。

昨年は3日間素晴らしいタスクが成立しています。レポートはこちらから。
http://jpa-pg.jp/10compe/entry-3936.html

11月末という一年で最もサーマル活動が弱くなるこの時期にも、強いサーマルコンディションとなる吉野川三頭山エリア!今年は、高度差1000mの水の丸エリアも使用したタスクを用意して、皆さんの参加をお待ちしております。


白馬八方尾根JapanCup(PNL、N2L)

レポート:前堀 善斗

爆弾低気圧が北海道沖に移動したものの、強い西風が残る予報の週末。
6:30のスタッフミーティングで幕開け。



初日の朝、天気は快晴!北アルプスが綺麗に見える最高のロケーション。
少しの高層雲があるだけで中層以下はブルーなので見た目では強い西風の影響が分かり難いコンディション。

標高1650m地点に設置してある風速計の数値を参考に空域の風を予測。時折上空の強い西風の影響が出ているのでフライト可否の判断が難しく、競技委員長は頭を悩ませます。



8:00には標高の高い大会用テイクオフからのフライトは難しいと判断し、ゴンドラ山頂駅横の通常のテイクオフを使用する事を決定。その上でできる限りのタスクを考え準備を進めます。


しかし、急激に西風が影響し危険なコンディションになる可能性が高いことを考え、タスクキャンセル。

しばらくはフライトできそうなので、希望者はフリーフライトとなりました。




1600m付近に強固な逆転層があり、その逆転層が上空の西風をブロックしてくれているようでした。




結果的に逆転層はブレイクせず、終日フライト可能なコンディションが続きましたが、今までエリア管理してきた中でもこのような条件で日中フライトできたことは無かったので初めての経験です。

残念ながらタスクはキャンセルでしたが、最高のロケーションの中フリーフライトしていただくことができて良かったです。

大会本部では扇澤氏がGin Glidersのブースを設置してくれ、製品を見たり触れたりしながら食事班からカレーライスの振る舞いです。夕方には予定より少し早めにレセプションパーティーが行われました。




2日目も変わらず強い北西風予報ですが、1日目の事を考えると十分に可能性がありました。
しかし、雲底が低く1600mにある大会用テイクオフの使用は無理と判断し、ゴンドラ山頂駅横テイクオフへ移動。

コミッティー達は、低い雲にブロックされているもののいつ影響してくるか分からない上空の北西風と強く入ってくる予報のバレーウィンドのことを考えた上での最良のタスクを考えます。

日射はあるので雲底さえ上がればタスクはできる!そう考えタスクを発表し、残るはウィンドオープン時間を発表するだけの状態でスタンバイ。



残念ながら13:30頃テイクオフからの視界が確保できそうな頃には北西の影響が混ざった乱れたバレーウィンドが流入し、タスクキャンセルとなりました。

テイクオフでの雲中ウェイティングで冷えてしまった選手・スタッフ達には大会本部で温かいうどんの振る舞いです。



閉会式では昨年のグランプリチャンピオンの返還式を行ない、グランプリ大会は四国三郎へ持ち越しとなりました。




秋の八方での大会では初めての不成立となってしまいましたが、たくさんの選手に参加して頂きありがとうございました。



スタッフとしてご協力いただいた皆様、ほんとうにありがとうございました。
そして、来年もまたよろしくお願いします!!



チャレンジリーグポイント訂正について

いつもJPAの競技会に参加いただきありがとうございます。

PCL第6戦「ジャム勝・サマーカップ2015」のTask1におけるリーグポイントに間違いがありましたので訂正させていただきましたので、お知らせいたします。

訂正に至った経緯

2015年シーズンのルール改正により、チャレンジリーグのタスク距離はGPS距離を採用することを明記しております。


参考としてN2リーグ記載は次のようになっています。



しかし、実際に提示されるリザルトにはシリンダー間距離が表示されるために手違いや誤解が発生しポイント計算時に実距離を採用してしまいました。



特に、基準距離としている15Kmをトップの選手が飛行していない場合は

リーグポイント=100×(トップ選手の飛行距離÷基準距離)

となるため、リーグポイントに大きな違いが出てしまいました。


以上の様な経緯もあり「ジャム勝・サマーカップ2015」のリーグポイントを訂正させていただきました。選手のみなさまにお詫び申し上げます。

また、今回の件に関連したご質問も選手のみなさまから頂戴しておりますが、そのほとんどが基準距離に満たないタスクにおけるポイントに関することであり

GPS距離:GPS中心間距離のこと

が表現としてもわかりにくい点、リザルトが「シリンダー間距離(実距離)」であることに起因しております。
これらが誤解や混乱を与えていることについても重ねてお詫びいたします。
現在、改善すべく検討している最中ですのでご理解いただければと思います。

なお、チャレンジリーグ2015シーズンにおける「2015チャレンジしらたか」までの全タスクにおける

実距離、GPS中心間距離、TOPの飛行距離、TOPに与えられるポイント

を以下に掲載いたしますのでご確認下さい。



JPA競技事業部・競技委員会



2015 オールジャパン in 白鷹


                          レポート 宮田 歩
毎年5月のゴールデンウィークに開催されてきたナショナルリーグ「オールジャパンin白鷹」でしたが、2015年は9月シルバーウィークに変更となり開催です。贅沢なスーパーコンディションは期待しなくとも、安定した天気で多くのタスクを成立させ、選手に白鷹の空を楽しんでいただきたい!主催者の熱い思いを込めて開催です。



9月の長期休日を利用し余裕を持った日程となっているため、前日は参加選手が練習タスクを行う予定でした。ところが、前日に通過した前線の影響が残り西風の強風。前日入りし、気合を入れていた選手の皆さんには肩透かしとなってしまいましたが、練習日が良いと本番の天気が崩れるのが世界共通の謎。おかげで、初めての白鷹を飛ぶ選手には、エリア説明、攻略方法がセミナーされ、準備は万端!明日からの本番に備えることができました。





9月19日
白鷹大会の朝は、恒例の地元まあ・どんな会の温かい朝食から始まります。選手もスタッフの皆さんも、これで心も体もエネルギーを充電完了。いつも美味しい朝食をありがとうございます。





西から張り出してきた移動性高気圧の動きは予想より遅く、やや北風が強いものの、受付が終了後は予定通りテイクオフへ移動。開会式、ジェネラルブリーフィングが行われました。初めて白鷹を飛ぶ選手に対して、再度注意点、攻略方法が説明されました。





白鷹エリアは山形盆地と置賜盆地、2つの盆地に挟まれた境界に位置します。局地風はどちらかというと、最上川に沿って進入してくる日本海側から北風となります。ところが、置賜盆地北部は下層に南西風が回り込み、白鷹エリア周辺にはコンバージェンスライン(風のぶつかり)が形成され、風の淀み、思わぬ上昇風帯を作り出します。




いかに、このコンバージェンスを読み切り、安全を確保したタスクを設定するかがタスクコミッティの頭を悩ませます。初日は、低い雲底を考慮しPNLはエリア周辺を回った後、荒砥ゴールの25㎞。PCLは白鷹テイクオフを起点にしメインLDゴールする周回タスク15.5㎞が決定。








ウィンドオープン後の雲底高度は予想外に1600mまで押しあがり、絶好のコンディションとなり選手は雲底で待機します。PNLで絶好のスタートを切ったのはスカイトライ矢野選手。単独、高い風上位置をゲットし、トップ集団を牽引します。そして前半の難所、B19 (ダム)から3500mのシリンダーを取った後、矢野選手痛恨のタスク設定ミス。何とB19を200mシリンダーと勘違いし戦線離脱。






その後サーマルの起点となる白鷹山頂は一時オーバーキャスト。このタイミングでウインドオープンとなったPCLはほとんどの選手が降りてしまう波乱となってしまいます。PNLは、上がらないテイクオフ前に見切りをつけ、絶妙なファイナルグライドに入ったのは立山の中島選手。狙っていたパレス松風で最小限高度を稼ぎ、後続を振り切りトップゴール!テイクオフからフルスピードで巻き返しを狙った宮田は20秒遅れでESSをカット。続いてTAK中村選手。その後も続々と26名がゴール!大量ゴールで大会初日から盛り上ります。ゴールでは、地元白鷹クラブ衣袋農園のゴールリンゴが振舞われました。とれたての新鮮なリンゴは皮ごと食べてもしゃきしゃきで美味しい!






PCLリフライト組がテイクオフへ上がったタイミングでは、本流の北風強風が入り込みリッジソアリングコンディションに。そんな強風をものともしなかったのは、唯一ゴールを決めたTAK横田選手!しかし、痛恨のスタートミス。距離を伸ばした清水選手がトップとなりました。

9月20日
西から張り出してきた移動性高気圧により今日は風が弱い!絶好のコンディションが予報されました。タスクコミッティは最良のシナリオでは、PNL朝日連山の東斜面を往復も選択できる荒砥ゴールへのアウトアンドリターン。PCLは白鷹エリア外の荒砥ゴールを狙います。






テイクオフでのブリーフィングが終わったころ、そろそろ雲底が上がってくるかと思われましたが、昨日同様に雲量は多くなかなかコンディションは好転しません。11:00近づき仮タスクは変更。PNLは西黒森スタートの米沢ゴール。シンプルな35㎞。PCLは白鷹山を周回し荒砥ゴール。こちらもシンプルな13.5㎞。







12:20のウインドオープンからコンディションは好転。低い雲底は1400mほどですが、高い雲底は1700m。高度差がある雲底を飛ぶため、視界が悪くテイクオフ上空は一時混沌としていました。コミッティのレベル2コールに選手はやや拡散。安全を確保しながらベストポジションを伺います。




PNLを牽引したのは立山の中島選手。白鷹山を低く通過し、次の雲へ突っ込み見事セカンドサーマルをゲット!抜け出します。PNLタスクコース上は南北にコンバージェンスの雲が続いています。高く雲底下をグライドするには良いのですが、一度低くなると大きくオーバーキャストした空域の対流は弱く、これは渋い・・・。それでも流石PNL選手は何とか生き残り、米沢ゴールが待っている置賜盆地へ到達します。



長井側からはTAK中村選手。群馬の関根選手。南陽側から宮田、正木選手からアタック!雲が切れた平野部のサーマルは間欠的。高層雲も張り出しサーマルのサインは乏しい・・・。しかし、残り10㎞。弱いサーマルでも当たればゴールできそうです。残念ながらトップ4名は順調に高度を損失し無念のランディング。それを見て雲底から平野に出てきたヨッチャンこと吉田選手が高くアタックしますが数km手前。そして高層雲の切れ間から日射が復活してきたところで、秋田の菊池選手!活発化した平野部のサーマルをゲットし、悠々とファイナルグライド。唯一のゴールかと思われましたが1㎞手前にショート。ゴール者はなし。



一方、PCLはスタート前にピークに達したサーマル活動も、発達した積雲でオーバーキャスト。またしてもほとんどの選手がランディングを強いられます。そんな中、唯一生き残ったのは宇都宮の田村選手。そして復活したサーマルコンディションで悠々と荒砥トップゴールを決めお見事1000点!果敢にリフライトに臨んだ選手も、良いコンディションに間に合い、4名がゴール!ほとんどの選手がゴール前へのファイナルグライドを楽しみました。




9月22日
移動性高気圧の動きは予報よりも遅れたようで、一日遅れで今日がベストコンディションとなりそうです。3日間成立すれば、様々なタスクにトライできます。最終日ですが、PNLはテクニカルなタスクを設定されました。




PNLは昨日のリベンジ米沢ゴール(7㎞)から平野部を南陽ゴールまでリターン32.3㎞。タスク距離に現れない難易度は高い。PCLはエリア内の周回数を増やして荒砥ゴール15㎞。スタート時間は昨日までより1時間早く設定されました。



ウインドオープンと共に次々と選手は空中へ。しかし、昨日までと違い、中々上がりません・・・。一度上げきった選手は悠々と雲底で待機していますが、低い選手はジリ貧。スタート時間に間に合った選手を下から眺めながら、生き残ることに集中します。






PNLピッタリのスタートをした集団は、今日も立山中島選手が牽引します。「何人たりとも前は飛ばさない!」素晴らしいアタックで大きく先行しますが、長井手前で北風を追い越してしまいスタック。追走していたウィングキッス藤川選手と、宇都宮の喜多選手は、ブレーキをかけて確実に雲底下を高く南進。スタートを大きく出遅れたセカンド集団でしたが、やや東寄りのコースをコンバージェンスラインに乗って追走。コンディションは好転しスピードも上がります。そして、宮田は南陽市上空で先頭集団に追いつきます。



先にファイナルグライドに入ったのは、藤川選手と喜多選手。米沢ゴールから7㎞のシリンダーを取って後、見事サーマルをヒットさせたのは喜多選手。最小限の高度を獲得し、見事トップゴールを決めました。宮田も1,800mからファイナルグライドに入りますが、コース取りを誤り痛恨の1㎞ショート。その後も後続組は続々とファイナルグライドに入りますが、届きません。15時を過ぎ、もうゴールはいないかと思われたころ、はるか雲底からファイナルグライドに入るグライダーがありました。リフライトの稲見選手。午後に好転したコンディションを使い効率よくフライトし、見事ゴール決めました。やはり置賜盆地は14時を過ぎてからだったようです。




PCLもほとんどの選手がリフライトする中、Coo平松選手と地元松田選手の2名が見事ゴール。初ゴールかと思われた宇都宮の江副選手は、シリンダーミスでした。惜しい!



トリッキーなタイミングもありましたが、3日間素晴らしいコンディションで3本のタスクが成立しました。PNLは手堅くまとめた宮田が総合優勝。準優勝はウイングキッス藤川選手。3位はTAK中村選手。最終日までもつれたPCLはTask3でトップをかざったCoo平松選手が逆転優勝。2位は宇都宮の田村選手。3位はTAK横田選手でした。入賞された皆さんおめでとうございました。










3日間成立し、スタッフの皆さんお疲れ様でした。PNLの連日、米沢ゴールタスクでの広範囲の選手回収で大変だったと思われます。本部に帰着した後の、カレーや山形名物「芋煮」とてもおいしかったです。植木実行委員長からは、来年も9月に開催していただけることのお言葉をいただきました。やっぱり9月の白鷹は時期的にも最高。また来年、みんなで来るぞ! ありがとうございました。