さくらんぼカップ2022


レポート 競技事業部:藤野光一

6月の白鷹と言えば「さくらんぼカップ」。この大会はJPAの競技会の中で唯一「チャレンジリーグだけ」の大会として毎年開催されています。開催時期が梅雨入りが近いため、毎回天気予報に一喜一憂させられるのですが、今年も絶望的な雨マークが開催日前日には晴や曇りマークの予報に変わり、蓋を開けてみれば2日間とも良い条件で競技が成立する・・・。この大会は、そんなパターンが出来つつあるように感じました。

主催者の植木校長は「初心者に大会の楽しみを知ってもらうための大会」と位置付け、今回は地元白鷹からも大会初参加組が参戦。果たして大会の楽しさを味わっていただけたでしょうか?

DAY1

昨夜までの雨も回復し、白鷹の空は青空も見える絶好の大会日和となりました。
チャレンジだけと言うこともあり参加選手は少ないですが、ナショナルリーグのオープン参加選手も含めて今回は14名(チャレンジ9名、オープン5名)が白鷹に集いました。


今日は昼以降から若干風が強くなる可能性があるので、出来れば昼前から昼過ぎにかけて競技が出来れば…と言うのがオフィシャルのシナリオ。数値データでは午前中から対流も活発なので、早めに動くことでそれに備えます。


受付

コミッティー

テイクオフで開会式が行われ、いつものようにローカルルールの説明などが行われました。


司会

大会実行委員長

タスクコミッティーには、大会参加が初めての人でもゴールできるようなものをお願いし、検討してもらいました。初めての方と言っても地元勢なので、地の利の点からはそれ程心配はないでしょうが、大会となるといろいろあったりしますので、その点を踏まえ「全員ゴール」のタスクを提示してもらいました。


タスクボード

タスクマップ

タスクはTO後にB03とんびショップ400mでスタート。B12作業小屋400m、B14狐越え800m、B06一本松800m、D61テイクオフ400m、B08豚小屋1Km、A41メインLD800mでESS、ゴールシリンダーは200mの12.7Kmです。若干北絡みの風(北西)が予想されるため狐越えはマージンを取り800mに。鬼門となってしまう一本松も取りやすく800mに。距離的には短いですが、全員ゴールがテーマなので十分良いタスク設定と思います。コンディション如何では瞬殺の可能性もありますが、それはそれ。おのおのの目標や目的に合わせて飛んでもらいたいと思います。

時間は10時50分ウィンドウオープン、11時30分一斉スタート!!


空中は非常に活発で、雲低高度は2000m。まだ風もそれ程強くないためタスクは十分に回ることが出来るでしょう。
スタートで飛び出したのはグライダーを変えて気を吐くNo.507大久保選手。気づけばその前にはNo.522菊田選手。オープンのNo.2藤野選手がそれを追いかける形でレースが進みます。高度が十分なため、これらの選手はコースをほぼ一筆書きのようになぞりながらハイスピードでこなして行きます。


雲低待機

このタスク一番の鬼門である(はずの)一本松からリターンして上げ直す場面で先行していたNo.522菊田選手がやや足踏み。その隙にオープンのNo.2藤野選手が豚小屋へ向かってファイナルグライドを開始。やや遅れてNo.507大久保選手も追随、さらに後ろにはNo.506吉田選手も迫っています。


結局、順位はNo.2藤野選手、No.507大久保選手、No.506吉田選手となり、3名共に30分を切るハイペースなレースとなりました。


No.507大久保選手

終わってみれば、参加選手14名中12名がゴールメイク。全員ゴールとは行きませんでしたが、フライングでゴールとはならなかったものの、終始トップグループで飛んだNo.522菊田選手など、コース的には全員ゴールと言ってもおかしくはない結果でした。
昼過ぎから若干北風が強まる時間帯もありましたが、みなさんランディングでレースの余韻に浸っていました。午後からフリーフライトも可能でしたが、どなたもフライトされなかったようです。


楽し気なライディング場

黄色い人

TASK1リザルト
PCLのみPCL+OPENPCL+OPEN女子PCL+OPENチーム戦

DAY2

大会2日目は曇りがちの朝。天気予報は曇りマークですが白鷹周辺は所々日差しもある天気で、昼頃からは雲も薄くなり14時くらいまでは期待できる予想です。


曇り

受付(今日はさくらんぼあり)

昨日の結果を踏まえ、今日のタスクを検討するコミッティー。コンディションの読みが難しいため、最終決定はテイクオフで行うこととなりますが、概ね今日のタスクは決定したようです。


コミッティー

テイクオフは、まだうっすらとガスに覆われています。こんなのを見ると「ホントに大丈夫か?」とネガティブなことを考えてしまいます。


レーダードーム

ダミーは上がってます

しかし、徐々に好転してくるコンディションにダミーも上がりはじめ、タスクコミッティーはタスクの最終判断を行いました。基本的には昨日と同じタスクですが、沖だしのB06一本松のシリンダーを800mから1Kmに大きくして、若干難易度を下げるようです。

しかし、タスクと言うのは面白いもので、全く同じタスクであっても条件が違えば難易度も攻め方も変わってきます。昨日のようなバカ上がりでのスピードレースとは違い、上げるポイントの見極め精度、上げるスピードや技術、良いコースの選択など考えることは多岐にわたります。これらを体感するには、違う条件で同じタスクを回ってみることは大きな意味があることでしょう。


コミッティー

タスクボード

タスクマップ

今日はコンディションが遅めの方が良いので、ウィンドウオープンは11時30分、スタート時間は12時となりました。


コンディションは思ったよりも良く、スタート前でも雲低は1300mほど。山にも沖にもしっかりとリフトがあるので、丁寧に回ればゴールすることは可能でしょう。

今日もスタート時間の12時キッカリにスタートしたのはNo.507大久保選手、No.522菊田選手、オープンのNo.2藤野選手。昨日と同じようにこの3名がトップ集団としてレースを展開します。ただ、昨日と違うのは、一筆書きでは無理なので山に戻っては上げ直す作業を着実にこなす必要があることでしょう。それらに加えてTPへのコースやTP付近のサーマル状況も予測し、例え高さが足りなくとも攻略が可能かの判断などは、長い経験とナショナルリーガーの方に当然ながら分があります。スタート後にテイクオフ前に戻った3機から抜け出したのはNo.2藤野選手。コース取りに注意しながらタスクを先頭で回り切りました。

これに続いたのは昨日のチャンピオンNo.507大久保選手。藤野選手を上手くダミーに使いながら上げすぎず下げ過ぎず、適度な距離を保ちつつ見事2日目もトップゴール。今日はチャレンジリーグではダントツのトップで優勝を決めました。

その後もオープン、チャレンジ入り混じりながら続々と選手がゴールに現れます。2日目も本日フライトした12名中10名がゴールです。


No.507大久保選手ゴール

勝利の雄叫び

この日もランディング場は選手の笑顔であふれていました。どんなタスクでもゴールできれば嬉しいものです。人それぞれに目標がありますので、それぞれの立場で達成感を味わったのではないでしょうか?
大会初参戦のみなさんも、初ゴールの体験はいかがでしたでしょうか?


TASK2リザルト
PCLのみPCL+OPENPCL+OPEN女子PCL+OPENチーム戦

表彰

チャレンジリーグ総合

今回のさくらんぼカップを制したのは2日間ともトップゴールを決め、完全優勝でNo.507大久保昌俊選手となりました。おめでとうございます。


優勝 No.507大久保昌俊選手

チャレンジリーグ総合入賞者

優勝 No.507 大久保昌俊 NIVIUK ARTIK6

準優勝 No.509 堀井 重雄 OZONE SWIFT5

第3位 No.519 相原 晃二 DUDEK OPTIC2LIGHT

第4位 No.521 宍戸 博文 SKYWALK CHILI4

第5位 No.515 箕浦 仁 PHI BEAT

第6位 No.523 渡部 正清 NOVA ION6

PCL総合リザルト

PCL+OPEN


PCL+OPEN入賞者

優勝 No.2 藤野 光一 PHI SYMPHONIA2

準優勝 No.507 大久保昌俊 NIVIUK ARTIK6

第3位 No.36 松田 京子 NIVIUK ARTIK6

PCL+OPEN総合リザルト

PCL+OPEN女子


PCL+OPEN女子入賞者

優勝 No.36 松田 京子 NIVIUK ARTIK6

準優勝 No.106 千葉 恵 NIVIUK IKUMA2

第3位 No.48 柏倉 恵美 BGD CURE2

PCL+OPEN女子総合リザルト

PCL+OPENチーム戦


チーム戦優勝 他力本願

PCL+OPENチーム戦

優勝 他力本願(松田、柏倉、阿部、千葉)

準優勝 チーム車中泊(大久保、堀井)

第3位 チム・トントン(相原、宍戸、菊田、渡部)

PCL+OPENチーム戦総合リザルト

チャレンジリーグは競技の楽しさを体験してもらう場でもあります。白鷹ではこの後も7月の紅花カップ、9月のラ・フランスカップと大会が続きます。どちらもナショナルリーグ併催ですが、チャレンジリーグも開催されますので、「競技は難しい」とか「敷居が高い」とかいろいろと感じ方はあるかと思いますが、まずは参加してみて楽しさを体験していただきたいと思います。

最後になりましたが、開催にあたってご協力いただきました地元のみなさま、スタッフ及び関係者のみなさまに心から御礼申し上げます。

次回もみなさまのご参加をお待ちしております。


集合写真