四国三郎ジャパンカップ2018

レポート:競技委員長・扇澤 郁

毎年恒例となっているJPAナショナルリーグ最終戦・四国三郎ジャパンカップは、紅葉が深まる四国三郎流域の絶景の中、好天に恵まれ開催されました。

ここまで天候不順に悩まされた今シーズンのナショナルリーグでしたが、来シーズンのシード権を狙う選手たちが実力を発揮するためのファイナルレースの舞台は、地元関係者、近隣パラグライダースクール等、大会関係者全員の熱意で整い、熱い戦いが始まりました。

1日目

大会初日、寒冷前線通過後の四国三郎流域には北風が流れ込む予報となり、水の丸テイクオフから組まれたタスクは、吉野川の右岸にいても左岸にいてもコンプリート出来るフレキシブルなコース取りができる54Km。レース序盤の見どころは、北風の具合により、サーマルのラインが対岸なのか、川の真ん中なのか、手前なのかを読み、スタートをどこのラインで切るかでした。




レース序盤スタート時刻12:30頃、対岸ではリーサイドサーマルに苦戦し、高度を稼げずスタートを切れない選手が多い中、川の真ん中で高度を保ちスタートした選手が少しずつ距離を伸ばしていきます。そのなか、川を渡らず、手前のリッジで距離を伸ばしていたNo.8の吉川選手が順調に距離を伸ばしT2へリターンしたころで、競技委員長からは風が強くなりつつあるとの判断でタスクストップのコール。

タスク1はTask Validity:0.05でポイントの低いレースとなってしまいましたが、北風ベース時の吉野川流域の風の流れとサーマル活動の関係の典型的なコンディションを体感でき、明日につながる良いチャレンジだったと思います。



2日目

大会2日目。決戦の時の朝サーマルトップは1400m~1500mで終日晴れ予報ですが、コミッティーは渋めのコンディションを観天望気し、タスクコミッティーの稲見選手(リーグ戦総合2位)からは、同じくタスクコミッティーの高杉選手(リーグ戦総合1位)を最終タスクで抜き去るためのタスクが提案され、双方合意の上発表されました。
タスクは、四国三郎エリアを東西に3往復する50Km弱ですが、安全圏の山コースだと実走距離がかなり長くなることから、沖コースを狙う一発逆転組と、上位をキープしたい安全圏組に分かれることが予想される興味深いものです。


スタート後レース序盤は、沖を通る選手と山を通る選手に分かれはしたものの、TP2をクリアーしたのちは三頭山のハウスサーマルで上げなおすことになる、集団からなかなか抜け出せない渋めのコンディションが続きました。


レースが動いたのはTP3リターンの時で、真っ先にサーマルトップに到達した只野選手が、ワールドクラスの読みで一気に先行をする展開に。高杉選手を含むトップ集団が只野を追いかける中、一人逆転を狙える位置にいる稲見選手は勝負をかけ大奥の竜王コースを選択。
トップでTP4を折り返した只野選手は高度が低く、平野部で何とか渋いサーマルを育て始める。追いかけたトップ集団の中でも高度を保てた中村選手が、そのサーマルの上にかぶさり高度を稼ぎ始める。ここで、トップに躍り出たのが高度を保ちながらテイクオフレベルの山へ戻った竹尾選手。一気に高度を獲得し水の丸TO8Kmのシリンダーへ向かい始めます。一人旅で竜王コースを選択した稲見選手は大正解で高度ロスなくTP4をリターンし、モトクロス場上空まで戻り戦況を観察しながら余裕のセンタリング開始。



三頭山テイクオフで観戦していた大会スタッフは全体を監視しながらも、この面白い戦況を楽しませていただきました。

トップ2選手の心境を解析すると・・・

只野選手と一緒に低くなってしまった高杉選手は、稲見選手の断然リードと判断。高杉選手は稲見選手が900点代後半の良い位置でゴールした場合、最終タスク前の4本成立の得点計上では断然有利の高杉選手のアドバンテージがたったの8点しかない状況が読めていた。高杉選手は只野選手とは違い遅いゴールは必要なく稲見選手と同等なタイムでゴールラインを切る必要があり、当然のごとく只野と離れギャンブルに出たことで戦線離脱。



稲見選手は、集団から抜け出してきた選手の中に高杉選手の機影がないことを確信し、900点台後半でゴールすることで、リーグ戦トップは確定との判断。集団の中から抜け出してきた中村選手と一緒に余裕のファイナルグライドへ入るつもりで高度を稼ぎまくる作戦。この時、四国三郎の郷上空でシリンダーをカットし山に戻って上げなおしている竹尾選手を確認したが、有利な山コースでゴールを目指しても950点後半は取れるだろうと判断。

・・・等など(扇澤の勝手な推測です)


レース終盤は、コンディションが好転し沖周りの竹尾選手が余裕の単独ゴール。逆に、確実な山周りでゴールを目指した稲見選手を含むセカンド集団は若干スタックすることになり、トップから大きく後れを取った形でゴール。小森選手は集団と一緒にゴールし、女子では断トツのゴール。
その後も、4時間のフライトでESSをカットした吉川選手まで16名のパイロットがゴールを決め、選手全員が笑顔で帰着申告を目指した最終タスクにふさわしい終演となりました。

大会結果

本大会総合順位は竹尾選手が堂々の優勝。女子優勝は小森選手でした。
チーム戦は1本目の順位が加味され珍しく瀬戸内少年飛行団、チームX2、チームドラゴン、チームバーズ!の4チームが優勝。皆様、おめでとうございました。


ナショナルリーグ総合


ナショナルリーグ女子


ナショナルリーグチーム戦

年間表彰

興味深かったリーグ戦の順位は、975点でトップに並べた稲見選手が919点と振るわず、高杉選手のリーグトップで確定。2位に稲見選手。そして、3位はこの大会でもポイントをゲットした中村選手が初のポディウムを決めました。おめでとうございます。


年間総合TOP10


2018NLチャンピオン


女子は、小森選手が星田選手を逆転し優勝。2位に星田選手。そして、3位にこちらも初ポディウムの片貝選手が入りました。おめでとうございます。


年間女子TOP6


2018NL女子チャンピオン


チーム戦は全9タスクでポイントを重ねた三浦選手代表のConta会が優勝に輝きました。
2位は星田選手率いるチームドラゴン。3位は、隅選手がリーダーのチームZ2となりました。皆様、ナショナルリーグ戦にご参加いただきありがとうございました。


年間チーム戦TOP3

今回競技委員長をやらせていただきましたが、競技会は

・よいエリアで
・よい風が吹き
・よいパイロットが集う

ことで素晴らしいレースができるのだと確信できました。もちろん、出張エリアでの大会開催は準備が大切で、大会運営を陰で支えていたスタッフの皆様、素晴らしいエリアを管理されている皆様に感謝申し上げます。
そして、安全に楽しく笑顔で帰着申告していただける参加選手の皆様にも、この場を借りで心から感謝申し上げます。



ファイナルin朝霧

レポート:藤野 光一

チャレンジリーグ、N2リーグの2018年シーズンを締めくくるべく、11月3日・4日の2日間の日程で「ファイナルin朝霧」が開催されました。
本大会は、これまでのランキング上位選手や大会優勝選手を招待選手として迎え、最後の熱い戦いによって今シーズンのチャンピオンを決めるための舞台となります。
参加された選手は、ランキングトップを争う選手はもちろん、他の選手も自身の目標達成のために期待感を持って朝霧に足を運んだのでした。

1日目

初日の朝は、事前の天気予報からは考えられないドン曇り。大会前日入りした選手に
「昨日、良い思いをするからこうなるんだよ~!!」
と、大会あるあるを話す選手が他の選手の共感を得ていました。
しかし、チャレンジはともかく今年のN2リーグはどうも天気が味方してくれない気がします。そんな中でも、選手は9時からの開会式に合わせてWingkissテイクオフへ移動して行きます。



見た目には厳しそうな気象状況を踏まえ、様子を見ながら良い状況になれば即、競技が始められるように両リーグのタスクコミッティーがミニマムタスクを検討します。気象データでは減率が良い分、日照さえあれば競技ができそうと判断。これ以上は短くできないと言うタスクを組んで、その時を待つことになりました。



周囲の機体が前山から稜線方面へ抜けることができる状況になったことから、正式にタスクと時間が発表されました。

チャレンジリーグは11.8Km、N2リーグは20Kmのタスクが発表されました。明日の最終日の予報が悪い方向へ変わってきているため、これが今シーズン最後の戦いになるかもしれません。


Window Openからスタートまでの時間帯で、早めにテイクオフした選手はそれ程苦も無く稜線へ抜けることができたようですが、中盤から後半に出た選手は前山で上がらない中、忍耐のセンタリングを続ける羽目に陥りました。中には力尽きてスタート前に地上の人となる選手も見受けられました。


チャレンジリーグがスタートしたのは12時ジャスト。時間に合わせて数名の選手が白糸TOの3Kmシリンダーをカットし、さらに西進して行きます。しかし、空はどんよりと曇ってしまい、日差しを選手から奪ってしまいました。この状況で動いていた選手は上げることができず、ランディングに戻るのが精一杯。リフライトに懸けることになりました。

一方、N2リーグもチャレンジに遅れること12時15分にレースがスタート。渋さをものともせずに天子の3Kmシリンダーをカットし、さらに1Kmシリンダーを取りに行った選手は軒並み低くなり、陣馬の先で何とか粘るもランディングを余儀なくされます。やはり、状況に応じた戦い方が必要です。
そんな中にあって、着実に上げては移動して無理をしない飛びで、今日一番の厳しいコンディションを乗り切った選手が20小森、16関根、39河野の面々。決して無理をすることなく、かと言って動ける時にはしっかりと動いてタスクの駒を進めていく。そして、厳しい時間帯は13時前には再び顔を出した日射によって終わりを告げ、リフライトの選手も交えての賑やかな空域が現れました。
そうは言ってもタスクを楽にこなせるようなコンディションにはならず、徐々に空中の機影が少なくなっていきます。
そんな中、ただ一人ゴールを決めたのが20小森さちよ選手。ファイナルグライドはギリギリの高度でYMCAゴールに届くのか微妙だったそうですが、執念が通じたのかギリギリのゴールを果たしました。

チャレンジリーグはリフライトにおいてもゴール者は残念ながら現れず、最長距離を飛んだのは機体を変えて臨んだ504斎藤選手。ダントツの6Kmを飛んで堂々のトップでした。



初日の結果はN2リーグのトップが223点と低く、リーグランキング上位の選手に脅威を与えるものとはならず、トップは16関根選手のままです。
チャレンジリーグもトップの飛行距離が6Kmと、基準距離の10Kmに満たないために100点タスクとはならず、ランキングに変動を与えることはなく、トップは503松岡選手のままでした。

夜はYMCAの食堂をお借りしてのパーティーと、最終戦恒例となった「ナントカ王」の表彰が行われ、大いに盛り上がりました。

2日目

昨日の天気予報では雨だったはずが、朝は何故か日差しもあり期待を持たせる朝となりました。
そうは言っても昼頃から雨の予報もあり、競技ができるかは難しい状況です。
泣いても笑っても最終日。これで2018年シーズンの結果が決まってしまうのです。


選手は今日もWingkissテイクオフへ移動して行きます。が、ほぼ全ての選手がそろった9時前に無情にもYMCA近辺から天子付近には雨が・・・。雨は徐々に長者岳から猪頭方面へ勢力を広げつつあることから、残念ながらこの時点で競技はキャンセルされて2018年シーズンのチャレンジ、N2両リーグ成績が確定したのです。

最後に思い切り戦ってシーズンを締めくくってもらいたかったのは、選手も主催者も同じです。しかし、天気ばかりはどうしようもありませんね。

大会結果

最後に思い切り戦ってシーズンを締めくくってもらいたかったのは、選手も主催者も同じです。しかし、天気ばかりはどうしようもありませんね。

チャレンジリーグ総合

優勝 504斎藤 光秋 Gingliders-Bonanza2

準優勝 524小名木伸枝 Nova-Mentor5 Light

3位 502岩野おさむ Advance-Iota2

3位 508阿部 耕司 Nova-Sector

3位 517谷藤 幸子 Advance-Sigma10

3位 529荒金 正之 Gingliders-Carrera+

3位 536疋田 祥丈 Advance-Iota


チャレンジリーグ女子

優勝 524小名木伸枝 Nova-Mentor5 Light

準優勝 517谷藤 幸子 Advance-Sigma10

3位 523西条 薫 Advance-Iota2


チャレンジリーグチーム戦

優勝 コンタ君(松岡、阿部、貝田、小名木)

優勝 チーム今井浜(岩野、齋藤、谷藤、西条)

3位 ファイナル中村門下生(疋田、佐野)

3位 なまず(荒金、飯田)


N2リーグ総合

優勝 20小森さちよ Ozone-Zeno

準優勝 39河野 美樹 Niviuk-Peak4

3位 16関根 順 Ozone-Enzo3

4位 17藤野 光一 Niviuk-Artik5

4位 70関根 睦 Ozone-LM6

6位 307中久喜千代 Gingliders-Explorer

6位 311千葉 恵 Gingliders-Explorer

6位 325小熊 健 Gingliders-Bonanza2


N2リーグ女子

優勝 20小森さちよ Ozone-Zeno

準優勝 39河野 美樹 Niviuk-Peak4

3位 70関根 睦 Ozone-LM6

4位 307中久喜千代 Gingliders-Explorer

4位 311千葉 恵 Gingliders-Explorer

6位 211柏倉 恵美 BGD-Cure


N2リーグチーム戦

優勝 Tateyama Team-C(藤野、小森、吉田)

準優勝 チーム東北(関根睦、柏倉、田邊)

3位 PinCOO(平松、中川、中久喜)

3位 KPS(清水、石原、江連)

3位 とちおとこ(関根順、谷藤)

3位 NIVIUK+α(田前敏、藤本浩司、田前英代、藤本裕子)


年間表彰

チャレンジリーグ総合

優勝 503松岡 茂 Nova-Mentor5

準優勝 504齋藤 光秋 Gingliders-Bonanza2

3位 502岩野おさむ Advance-Iota2




チャレンジリーグ女子

優勝 517谷藤 幸子 Advance-Sigma10

準優勝 512富重のぞみ Nova-Phantom

3位 524小名木伸枝 Nova-Mentor5 Light


N2リーグ総合

優勝 16関根 順 Ozone-Enzo3

準優勝 26中島 義雅 Ozone-Enzo3

3位 51田前 英代 Niviuk-Icepeak7




N2リーグ女子

優勝 51田前 英代 Niviuk-Icepeak7

準優勝 20小森さちよ Ozone-Zeno

3位 39河野 美樹 Niviuk-Peak4




N2リーグチーム戦

優勝 KPS(中島、清水、青柳、石原、江連)

準優勝 とちおとこ(関根順、田村、谷藤、園部、西川)

3位 PinCOO(中川、工藤、中久喜、横堀、平松)


2018年のチャレンジリーグ、N2リーグがここに閉幕しました。各地の大会に参加いただきました選手のみなさま、ありがとうございました。 大会主催者のみなさま、支えてくださったスタッフのみなさま、多くの方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。 2019年も、みなさんと一緒に楽しい競技会を作っていきたいと考えておりますので、来年も多くの皆様の参加をお待ちしております。

 

JPA競技事業部



高嶺カップ 2018

レポート 鈴村恵司(競技委員長)

N2リーグ、チャレンジリーグ併催大会で実績を積み、’17年シーズンからナショナルリーグ、チャレンジリーグ併催大会に様式を変えたこの大会、昨年は、残念ながら二日間とも雨で不成立となった。天気ばかりは…と判っていても、“今年こそは”の思いは強い。
願いはかない、結果としてナショナルは昨年から設定されたエリアのある平谷村の隣の、さらにその隣のマチの新野のゴールに5名が到達し1タスク、チャレンジは2タスクが見事成立した(チャレンジは2タスクともにゴール者が出なかったのは残念だった)。

【一日目】

「何が良いって天気が良い」といった朝。風は西風弱めで、午後から中層雲が濃くなる天気予報。チャレンジは定番のTOのある高嶺山側で三角パイロンを2周し、国道を空中で横切った位置のLD周りの三角パイロンをやはり2周する約17kmのタスク。ナショナルは、LD側から高嶺側に戻り、さらにLD側でも三角パイロンを巡る約38kmのタスク。ナショナルタスクは、新野ゴールを使うタスクの提案に対して、午後から雨を予測している天気予報もありリスク大とタスクコミッティの判断により設定されたものである。
PCL タスクはこちら
PNL タスクはこちら

果たして残念ながら雨予報は当たってしまう。チャレンジデパーチャオープン15分後、ナショナルはデパーチャオープン15分前の12:00に雨によりタスクストップとなる。数年前の大会で急速な雨雲の発達(来襲?)に多くのグライダーが失速におびえながら高度処理していたシーンが思い出される。実際この日もタスクストップ後、1時間近く雨やみを待ってのフライダウンでも雨に祟られた選手が出てしまった。
ともあれチャレンジは15分間の短い試合時間の中、トップの中村選手が9kmを飛び、得点も240点となるタスクが成立。高嶺側の三角パイロン2周をクリアし、LD側に向かう途中でのタスクストップだったようで、つまりこの時、中村選手が先頭だったということだ。
N2クラス選手で構成されたオープンクラスでは袴田選手がトップを取った。
PCL総合TASK1の結果
PCLオープンクラスTASK1の結果



なんだかんだとは言え、飛べた日のパーティは盛り上がる。もともと予報的には日曜が本番だとみんな思っていた。遠すぎてぼんやりしていた「来年こそは」の思いは、はっきりとした「明日こそは」に変わってゆく。
パーティの様子はこちら


【二日目】



昨日は雨の影響で南東風だったが、高嶺山は南西風で飛ぶのが基本である。その通りの風が吹くものと週末前までは思っていた。しかし、この日の予報は、標高800m辺りは南西風ながら高嶺TOの標高1500m辺りは午後過ぎまで北北東風、そして現実も南西向きのTOの裏側から強い北風が入ってきていた。但し、標高1500mからの雲底高度は3000m!、
果たしてどうなるのか、いわゆる胃が痛い状況の中で選手もスタッフも待つことになった。

北風に打ち勝つ南西風の到来、雲底高度3000m。飛べればきっと“とても”良くなる(はず)の予測のもと、ナショナルはLD側から山頂側を2回リターンし、ゴールに向かう45kmタスク。チャレンジはLD側の三角パイロンを1周増やした20kmタスクを設定した。
PCLのタスクはこちら
PNLのタスクはこちら

願いは、かなって11時過ぎから南西風になりウインドダミーも空中待機。11時50分からチャレンジのウィンドウオープンでゲームスタート。予測外だったのがTOに吹きつける風がサーマルまじりで強くなったこと。チャレンジのグライダーでも立ち上げると持っていかれて右往左往。ましてやナショナルの高性能グライダーはヒヤヒヤするTOシーンが展開した(でもトラブルはなかった、良かった。)。さらに予測外がもう一つ、サーマルトップはとても3000mとはいかない、どちらかといえば渋いコンディションとなったこと。
チャレンジの選手たちは高嶺側をこなし、LD側に向かったがサーマルに恵まれずにゴール者なし。飯塚、岩野、谷藤(幸)、松岡の4名が僅差で飛行距離を争った。PCLオープンクラスは谷藤(公)選手がトップ。
PCL総合TASK2の結果
PCLオープンクラスTASK2の結果

ナショナルのトップグループは高嶺側でしっかり上げてLDに向かいLD側サーマルを使わずにリターン。そして後続組は時間経過とともに活発になったLD側のサーマルで上げなおしてのリターンを始める。しかし平均速度があげられないコンディションの中、高嶺側とLD側の2リターンの完遂は大半の選手には難しかった。トップグループ5名の内の高杉、扇澤、中村、稲見の4名が集団でゴール。少し遅れて追従していた薬師寺がゴール行の最終切符を手に入れたもののゴールは5名にとどまった。レース中盤でトップを引いた扇澤選手が高いリードアウト得点を得て、ゴール到達はトップであった稲見選手を抑えて1位。レース序盤を制していた高杉選手もリードアウト得点を活かして2位を得た。女子は’15年の高嶺N2リーグで強い印象を残した片貝選手が1位となった(片貝選手は総合でも9位)。
PNL総合の結果はこちら
PNL女子クラスの結果はこちら


ナショナルはタスク2成績が大会成績だが、チャレンジの大会成績は2タスク合計となる。チャレンジ総合は岩野選手が松岡選手を僅差で抑えて優勝。オープンクラスは谷藤(公)選手がトップとなった。
高嶺カップPCL総合の結果はこちら
高嶺カップPCLオープンクラスの結果はこちら


見事大会成立。しかし課題も残った。チャレンジリーグは高嶺側のパイロンを増やして時間をかせげばLD側のサーマルを楽しんでもらえたのではないか。ナショナルの2リターンは長すぎた。サーマルトップ3000mを本当に信じていたのか、与えられた数値に流されてしまったのではないか。まったく自らを騙すことほど、たやすいことはない。
そう次の「来年こそは」が始まったということだ。

長野県側からでも愛知県側からでも岐阜県側からでも高速を降りて1時間ぐらいはかかる。関東から見れば南アルプスを大きく回りこむ、どこからも近くはないロケーション。一番近いコンビニは車で30分。しかし他では経験できない山岳コンディションでのフライト、晴れた日には伊勢湾が光り、少し上げれば南アルプス越しに富士山が見えるといった、ここならではの特徴も持つ。また、この時期、紅葉もきれいです。今年いらした方、来られなかった方、そして新たに参加を考えている方、どうか今後とも高嶺カップをよろしくお願いします。

>最後に高嶺山頂西側の紅葉、多くのPNL選手は目にしたはず。



2018しらたか ラ・フランスカップ

構  成:藤野 光一

レポート:吉川 朋子

ここ白鷹を皮切りに白馬八方、高嶺、四国と続くナショナルリーグ後半戦が「しらたか ラ・フランスカップ」からスタートします。ナショナルの選手にとって、この白鷹での3日間は重要な意味を持つことになりますが、それも競技が成立すればこそ。既に数多くのタスクが成立し盛り上がっているチャレンジリーグとは違い、大会数も少ない中で着実に結果を出してリーグランキングに反映させたい選手にとって事前の天気予報は悪すぎました。
結果から言えば、そんなナショナル・チャレンジの選手にとって結果はどうあれ「3日間とも飛べた」と言うのは奇跡に近い話だったのかもしれません。あるいは、スーパー晴れ男やスーパー晴れ女がいたか、日ごろの行いが良い人がたくさん集まったからか・・・。
何れにしても、大方の予想を大きく裏切って連日の競技成立は参加した選手にとっては何よりのサプライズだったのではないでしょうか?

さて、そんな大会の模様について今回は、ナショナルリーグの吉川朋子さんにお願いしてレポートしていただきました。

1日目

エリアヘ着くと恒例の「まぁどんな」による美味しい朝食のおもてなし!
美味しくいただきながらも、気持ちは空へ向かいます。
空は更に暗くなり、ついに雨が!!!
こんなに降って今日はもうだめかという雰囲気も漂う中、「午後飛べるかもしれない」という植木大会実行委員長の言葉に望みをかけ、ウェイティング。


朝食


開会式

昼頃ようやく空の隙間に日差しが見え、テイクオフ付近の駐車場も乾いたということで選手はテイクオフに移動。少しずつ気持ちも高まってきます。

風向きは若干フォロー気味。
それでも飛べることを期待して、ナショナルリーグのタスクは作業小屋や西黒森山などの湾内をまわって荒砥橋へ向かう26.4Kmが、チャレンジリーグもナショナル同様に湾内を周回する13.6Kmのタスクが発表されました。


テイクオフは真っ白

チャレンジリーグTask1
D61-B04(SS:1Km)-B04-B03-B02-B06(1Km)-B14-B12-B10(1.5Km)-A41(ES:1Km)-A41

Window Open: 14:30
Start Open: 15:00

ナショナルリーグTask1
D61-B12(SS:1Km)-B12-B10-B13(1.3Km)-B02-B06(1Km)-B10-A43(ES:1Km)-A43

Window Open: 14:30
Start Open: 15:00


タスク発表


ブリーフィング

テイクオフはフォローがやむタイミングで出る第1テイクオフか、風はいいけどちょっとまわりこむ第3テイクオフにわかれました。
コンディションはやっとステイできるか、できないか…という状況ですが、出てみないことにはわかりません。
タイミングをみながら選手は徐々にテイクオフしていきます。




地元テレビ局の取材



いくつかのガグリングができますが、どこも苦しい感じです。
そんな中を抜け出たのは正木選手と扇沢選手。多くの選手がごちゃごちゃいるガグリングの中でもこれだというサーマルをきっちりつかまえてあげていくのはさすがです。スタートをとり、西黒山に向かいます。

一方では少しずつ高度を落として新山平やランディングに降りる人たちもでてきます。なんとかレベルキープしていた選手も作業小屋の400mをとったところで若干の距離伸ばしをしたあとランディング…という感じ。
いそいそとリフライトにあがるも状況はかわりませんでした。


結果は西黒山をとった扇沢選手が1位、正木選手も健闘したもののミニマムを超えられず、残り全員2位となりました。点数は残念ながら1位2点、2位1点と悲しいことに。(1000点満点です)
点差は1点!挽回のチャンスはみんなにあります。

チャレンジリーグの選手も果敢にテイクオフして行きますが、やはりタスクを周るには厳しすぎるコンディションに新山平がまるでメインランディングのように選手が吸い込まれて行きました。
結果、選手の健闘も空しくミニマムをクリアすることができずに初日のタスクは不成立となってしまいました。

夕方からはウェルカムパーティー!

激渋の状況ではありますが、やっぱり全員飛べたので気分はいいです。ウェルカムパーティも盛り上がり、最近恒例のブーメランズによるミニライブも開催。今回はなんと沢田研二(ジュリー)のバンドでドラムをやっていた方がドラムをしてくれることに!!
それを聞いただけでなんか演奏がプロっぽく感じてしまいます(笑)

楽しく飲んで食べて歌ったウェルカムパーティでした。

2日目

さて、この日の天気予報も微妙です。
前日の予報では、初日と違って風向きはいいものの日中曇り、雲底も低く、ちょっと強い予報。しかし当日になると風も弱まっていい感じ。しかも曇りが徐々にとれ青空が!!!
気分も高まり期待して受付後すぐにテイクオフにあがります。



雲底は低いもののダミーは雲底につけて空中待機できる状況です。

ナショナルリーグのタスクは新山平をスタートして西黒山、漆山中学校5Kmシリンダーの後にメインランに帰ってくる30.7Km。
チャレンジリーグは作業小屋をスタートしてメインラン、狐越えの後1本松の1Km、西黒森山の1.5Km、白鷹神社を経て荒砥ゴールの18.9Kmとなりました。



チャレンジリーグTask2
D61-B12(SS:800m)-B12-A41-B14-B06(1Km)-B10(1.5Km)-B02-A43(ES:1Km)-A43

Window Open: 10:45
Start Open: 11:30

ナショナルリーグTask2
D61-B04(SS:1Km)-B04-B10(1Km)-B32(5Km)-A41(ES:1Km)-A41

Window Open: 11:00
Start Open: 12:00


チャレンジリーグの選手が続々とテイクオフして行く中で、アーリーバードを利用してナショナルの選手も混じってテイクオフ。雲低はテイクオフより100m程度の高いくらいですが、リフトはしっかりあるようです。時折沖へこぼれる選手も見受けられますが、雲低付近ではスタート待機の選手が徐々に溜まってきます。





これに続いてナショナルの選手が続々とテイクオフしていきます。そして、雲中飛行にならないように気を付けながら、他機警戒を怠りなく高度とポジションを調整しながらスタートまでの時間を過ごします。




スタート時間と同時に新山平をとって西黒山へ。
しかし、その間サーマルはなく低い高度でテイクオフに戻ってきます。ダントツの速さと高さで戻ってきた竹尾選手も徐々に高度を落としていきます。神社付近でガグリングを形成するもなかなかあがらずレベルキープが精一杯。スタート前は吸い上げがあって雲の中に入らないように調整していたのに、状況は一転して今やオーバーキャスト。めぼしいリフトは忽然と消え去ってしまったのです。

そんな中、先行選手たちが低くなるのを見てアクセルを緩めて高度維持を図った吉川選手はテイクオフに高めで戻ってきます。ほんの少しのリフトにしがみつきながら、少しずつ高度をあげていった吉川選手は雲底レベルについたところでしびれをきらして離脱。それを見た他の選手も遅れて次々に離脱していきますが、状況は決して良くありません。雲の下に来ても、日射が当たっているピークにすり寄ってもなかなかサーマルはありません。

吉川選手は西側の稜線を、扇沢選手は稜線わきの沖を、他の選手は中腹を、と散らばってサーマルを探すもなかなかありません。あまりギリギリまで粘ると沖に出るまでにも距離があり、また刈り取った田んぼはまだ少なくかなり限られているので、常に選択を迫られるサバイバルゲームです。
途中レベルキープでスタックしている吉川選手のところに扇沢選手、中島義雅選手、竹尾選手が合流し4人の先頭集団を形成、扇沢さんが集団をリードして少しずつコマを進めますが、南風も入ってきて状況はさらに厳しくなります。扇沢選手はターンポイント付近の稜線に近づくものの、期待したリフトはなく沖に向かって山並みを離脱。後を追ってきていた中島義雅選手と吉川選手もこれ以上は攻められないと判断し沖のリフトを期待して山並みを離脱していきます。

一方その後で弱いリフトをきっちり上げ切り高度を獲得した竹尾選手は、ターンポイントに向かってコマを進めます。同じ頃少し後方の1本東側の稜線の上にある黒い雲にしっかりつけてあげている佐々木選手、小田選手、田前英代選手、佐藤選手、星田選手もターンポイントに向かいます。竹尾選手はなんとかターンポイントの稜線に付け弱いリフトを利用して遂にターンポイントをゲット。その後地形と風の流れを読み、苦しいながらも少しづつリターンし、ただ一人ゴールすることに成功します。見事なフライトでした。

結果、タスク2の1位はもちろん竹尾選手。2位は佐々木選手、3位は佐藤選手。女子1位は総合でも5位の星田苗月選手でした。

チャレンジリーグも決して良いとは言えないコンディションの中、我慢を強いられる戦いを繰り広げていました。前半は多くの選手が降りてしまう中で最も距離を伸ばしたのが飯塚選手。しかし、何故か仕事の予定を入れていた飯塚選手はリフライトできずにお客様先へ。
勝負はリフライトへ移り、13時を過ぎた湾内には日射も戻り午前中よりも高度が取れる状況になっていました。これを利用して着実にタスクを周る選手がファイナルグライドに入るも、南風が影響して届くはずの荒砥ゴールにあとわずかで無情のライディング。松岡選手も斎藤選手も疋田選手も。そして、唯一ESSをカットしてゴールできそうと本部でモニターしていたスタッフが思わず「ああっ・・・」と声を上げた惜しいフライトが谷藤選手でした。ゴールシリンダーまであと300mだったのです。本当に惜しい!!この日は、予想された北寄りの風ではなく南寄りの風で荒砥ゴールが遠くなってしまったのです。

結果、1位はほぼゴールの谷藤幸子選手。2位は疋田選手、3位は斎藤選手。女子1位は総合でもトップの谷藤選手でした。

本部へ戻るとプロ並みの美味しさを誇るピザがお出迎え!!
今日も渋いとはいえ、予報を良い方に裏切る天気で飛べて大満足の1日でした。

3日目


今日も予報はよくありません。明け方までしとしと雨が降り続いてました。風向きはまぁまぁだけど強くなる予報。

今日はどうかなぁ~と思いながらも、好転を期待してテイクオフへあがります。


テイクオフにあがると景色は真っ白です。昨日の雨の影響で日が差すとすぐに雲が湧き出ます。
雲があがるのを期待してタスクは発表されます。

ナショナルリーグのタスクは、スタートが初日と同じ作業小屋、その後西黒山の手前と電波塔跡地を行ったり来たりして最後は荒砥橋ゴールの31.4Km。

チャレンジリーグも作業小屋をスタートしメインラン、狐越え、一本松の1.5Km、西黒森の1.7Kmの後に荒砥ゴールの16.2Km。



チャレンジリーグTask3
D61-B12(ES:1Km)-B12-A41-B14-B06(1.5Km)-B10(1.7Km)-A43(ES:1Km)-A43

Window Open: 11:00
Start Open: 11:30

ナショナルリーグTask3
D61-B12(SS:1Km)-B12-A46(15.5Km)-B09-A46(15.5Km)-B09-A46(15.5Km)-A43(ES:1Km)-A43

Window Open: 11:15
Start Open: 11:45

ウィンドオープンの時間が近づくもののあまりコンディションはよくありません。新山平付近でステイしている機体が心もち上がったのをみて、次々に選手はテイクオフします。




が、状況は非常に厳しくチャレンジの選手とナショナルの選手がガグリングにごちゃまぜで混沌とした状況に…。

そんな中、扇沢選手と中村選手は抜け出て神社付近の上空で高度を高くキープしています。ゲートオープンの時間になりスタートに向かうものの厳しい状況は何一つ変わりません。そのまま西黒山方面に向かう機体とテイクオフで上げ直して向かうグループにわかれます。テイクオフで上げなおしといっても、なかなか上がりません。

少しずつ高度を獲得した選手が西黒山方面に向かいますが、リターンはかなり低くなっています。ランディングしてしまう選手もちらほらいます。西黒山方面からのリターン組もテイクオフに戻ってきましたがなかなか状況は好転しません。


そんな中、正木選手とリフライトの選手とが新たなガグリングを形成し一段上の高度を獲得。正木選手は対岸の電波塔跡地に向かいます。電波塔跡地をとったあと日射が当たっていたパレス方面にリフトを期待していくも期待したリフトはなく無念のランディング。

少しずつ選手がいなくなる中で、テイクオフ付近には関根睦選手と岡本洋子選手と吉川選手の3名のみとなりました。リフトを探すもののほとんどありません。待っても待ってもレベルキープも厳しい状況に。徐々に高度も下がっていきます。日差しは一切なくまわりは暗い状況です。

これ以上の好転は待ってもないと判断し、吉川選手が対岸に向かって離脱すると、関根選手と岡本選手も続いて離脱していきます。途中「ピッ」と一瞬バリオがなっても回すほどのリフトは全然ありません。

なんとか吉川選手と関根選手はポイントをとって少しベストポジションをとったあと谷間の田んぼ跡地にランディング。

結果、なんとタスク3のタスクトップを吉川選手と関根睦選手の女性2人がとることに!!
僅差で正木選手が3位、ギリギリまで頑張ってポイントまであと少しだった岡本洋子選手が4位でした。
(点数は全然ありませんでしたが)

チャレンジリーグの選手も果敢にテイクオフして行きますが、作業小屋を取ってテイクオフ前に戻ると低いところから上げ直さなければなりません。が、簡単に上げ直せるようなサーマルはなく、ステイも叶わずランディング。そしてリフライトへ。


もともと西風が強く入る予報でしたが、長井辺りから回り込んできたのか南寄りの風が強まることによって、スタートの作業小屋を取ることさえ困難になり、さらには雲がエリア全体を覆ってしまい万事休す。追い打ちをかけるように小雨まで降ってきたために、チャレンジリーグを含めたレースは事実上終了しました。
チャレンジリーグはミニマム距離を超えた選手がいないために残念ながら不成立となりました。

結果

「2018しらたか ラ・フランスカップ」は、競技日程の3日間とも飛ぶことができました。雨マークの並ぶ天気予報を見ながら

「白鷹では大鍋の芋煮を食べに行こう!」

とか、それぞれに予定を立てていた選手には逆に気の毒?でしたが、パラグライダーの大会は飛べてナンボです。ホントに飛べて良かった。

チャレンジリーグは2日目の結果が総合成績となりました。ゴールシリンダーまであと300mと大健闘した谷藤幸子選手が総合、女子ともに優勝となりました。チーム戦では「今井浜」が強さを発揮しての優勝となりました。

ナショナルリーグは内容はともかく3本のタスクが成立しました。総合優勝は2日目にただ一人ゴールを決めた竹尾選手でした。女子優勝はTask3で巻き返した吉川朋子選手。チーム戦は「Comta会」が優勝となりました。

チャレンジリーグ総合

優勝 517谷藤 幸子 Advance-Sigma10

準優勝 536疋田 祥丈 Advance-Iota

3位 504斎藤 光秋 Gingliders-Explorer

4位 503松岡 茂 Nova-Mentor5

5位 526飯塚 宏祐 Nova-Mentor4

6位 502岩野おさむ Advance-Iota2


チャレンジリーグ女子

優勝 517谷藤 幸子 Advance-Sigma10



チャレンジリーグチーム戦

優勝 チーム今井浜(谷藤、斎藤、岩野)

2位 中村門下生(疋田、松岡、井出)

3位 コンタ君(飯塚、阿部、東)


チャレンジリーグオープン

優勝 333田邊 万作 Niviuk-ICEPEAK7



ナショナルリーグ総合

優勝 25竹尾 雅行 Ozone-ENZO3

準優勝 204佐々木祥吾 Niviuk-ICEPEAK6

3位 7佐藤 辰美 Ozone-ENZO3

4位 200小田 雅也 Gingliders-Carrera+

5位 206岩崎 幸教 Gingliders-Boomerang GTO2

6位 8吉川 朋子 Ozone-ZENO


ナショナルリーグ女子

優勝 8吉川 朋子 Ozone-ZENO

2位 38星田 苗月 Ozone-ZENO

3位 70関根 睦 Ozone-LM6

4位 29吉原 紀子 Ozone-ZENO

5位 48岩崎 聡子 Niviuk-KLIMBER P

6位 20小森さちよ Ozone-ZENO


ナショナルリーグチーム戦

優勝 Comta会(正木、中島、岩崎)

準優勝 とちおとめ(中村、吉川、吉原、竹田、田村)

3位 チームドラゴン(星田真一、星田苗月、佐藤、矢野)


特別賞

503松岡 茂 (遠く山口県から参加していただきました)

562井出 大貴 (福井県から参加してくれた福井県立大学の学生さん)


大会を振り返ると、3日間ともたくさん飛べ、美味しいおもてなしもたくさんあった大満足の3日間でした。これもすべて、コンディションの好転をあきらめず信じて行動した大会本部、たくさんの準備とサポートと美味しいおもてなしをしてくれたスタッフみなさんのおかげです。

本当にありがとうございました。これを活かして残りの後半戦に挑みたいと思います。



ジャム勝・サマーカップ2018

大会レポート:藤野 光一

ジャム勝・サマーカップと言えば、夏の風物詩と言ってよいくらい定着した大会になっていますが、このネーミングでの開催は2007年から。それ以前はナショナルリーグの大会として秋(10月や11月)に開催されていたのです。
今年はこのネーミングになって12年目。干支がちょうど一まわりしたことになります。
「夏の勝山はいい・・・」と言うくだりから始まるのが2007年の大会レポート。しかし、年を追って見ていくと、ジャム勝・サマーカップは天候に翻弄される形容詞の多いこと多いこと!!パラグライダーの競技会と言えば天候に左右されるのは当然とはいえ、これほど天候に一喜一憂してきた歴史のある大会はないのでは?と個人的には思っています。ある時は絶望的な予報を覆しての快晴から逆転の成立。またある時は好天予報が外れて無情のキャンセル・・・。
そして、2018年もそんなジャム勝・サマーカップらしいほぼ”絶望的”な天気予報の週末で幕を開けることになったのです。

1日目

朝早くに秋雨前線が勝山市を通過し、それと共に雨も上がった様子。とは言え、今日の競技は難しいと言うのはおそらく選手も主催者も承知の上だったことでしょう。それでもN2リーグ30名、チャレンジリーグ16名の選手が受付に現れるのは「ジャムだから何か起きるかもしれない」と言う、およそ科学的な根拠など存在しないオカルトめいた期待感を選手に抱かせるだけの歴史があるからなのでしょう。


9月1日9時(出典:気象人)


雨の上がったエリアを望みながら開会式が行われます。ジャムスポーツの堀校長も「ここの大会はこれまでこのような天候から成立してきました」と強気です。選手もこの言葉にいくらか希望を持ったのではないでしょうか?


堀校長


とは言え、さすがに今日の競技は難しいため早々にキャンセルが決定されました。タスクコミッティーのみなさんは、明日の競技に向けて様々な条件を想定したタスクを検討していました。


タスクコミッティー

選手のみなさんは、観光に出かけたり午後から飛べる条件になってフリーフライトをしたりと、思い思いに初日を過ごされた様です。勝山名所の恐竜博物館やおろしそばなどを堪能された様です。
また、今回は福井国体のパラグライダーアキュラシー競技も併催されており、夜のパーティーではそれぞれの選手による懇親や、いつもながら大会を支えてくれる学生たちとの交流もあり、楽しい時間を過ごされたのではないか?と思います。


2日目

大会中はあらゆる気象情報を目にします。土曜日の昼過ぎまでは2日の予報は良くて曇り、大概の気象サイトでは午後から雨マークの付く”それ程期待できない”ものだったのですが、何故か夕方発表のものから晴れマークが並んでいました。そして、朝は確かに晴れていて、上空の空気は夏から秋のものに入れ替わっていて爽やか。それでいて対流性の雲もしっかりと存在しており、競技ができそうなムードを醸し出していたのです。まさに”ジャム勝マジック”です。


2日目の受付は9時から。少しのんびりしてはいますが、選手は期待感一杯の面持ちで受付を済ませてテイクオフへ移動して行きます。およそ可能性の低かった今回の大会でしたが、ジャム勝は何かが起きると感じさせた通りのことが起きてしまいました。


選手がテイクオフに揃ったのは10時30分頃。それに合わせて最初のブリーフィングを行い、今日の気象状況などを選手と共有します。堀校長によると、心配される雨はおそらく問題ないとのこと。対流も十分期待できるので、存分に飛べるタスクをタスクコミッティーと検討することになりました。


テイクオフスタッフの学生諸君

気象データも総じて良い方向を示しているので、たたき台になったタスクはN2リーグで最短距離30Kmを超えるもの。沖は名物のアンテナから、なかなか使いにくかったB27。後ろの山の中腹にあるTPを使ったダイナミックなもの。チャレンジリーグは最短距離で20Km。こちらも北側の砂防ダムを使ったチャレンジブルなものになりました。これを元にダミーの様子を見ながら調整して行くことになりました。


選手準備中


ブリーフィング


タスクコミッティー

日差しは十分ながらも、上りは期待したほどではありません。堀校長がテイクオフ目線あたりで頑張っていますが、なかなかそこから上昇してくれません。また、中層は南成分の風が結構入っているようで、センタリングは北側に流されて苦労しています。その後1000mを超えて上昇するコンディションになったものの、当初予想よりも渋めの条件を考慮してタスクを変更することに。そして、この判断はベストでした。


タスクボード


PCL Task2

チャレンジリーグは、テイクオフ後にB59料金所のSSS600m・enterでスタート。B59の400mを取った後でB45タンク、B58レストハウスの三角をもう1周し、この後は三角を少し大きくしてB37ダム横、B36砂防ダムの800m、B58のレストハウスを2周して最後にB37のダム横を取ってからA86のESS600m後に400mでゴール。距離は最短で19.5Km。
Window openは12時30分。Departure openは13時ジャストとなりました。


N2L Task2

N2リーグは、テイクオフ後にB59料金所のSSS600m・enterでスタート。B59の200mを取った後で後の山のB27ファンタジー中間のシリンダー1000m、B36砂防ダム500m、B37ダム横、B27を取ってから逆回りに転じ、B37ダム横、B36砂防ダム、B27、B37、B36、B27、A86のESS600mの後に200mでゴール。距離は最短で23.4Km。
Window openは12時50分。Departure openは13時30分。










チャレンジリーグの選手が出た頃から条件は好転し、最初に出た選手がスタートする頃には雲低の1400m付近で雲に入らないように飛んでいたそうです。後から出た選手はそこまで上がらない様で、高い位置からスタートしたグループと低い位置からスタートしたグループに分かれました。サーマルは比較的活発で、多少低くても沖から上げ直せるほどの好条件を上手く利用して最速でタスクを駆け抜けたのはNo.538飯田選手。58分34秒と1時間を切る速さでのダントツトップでのゴールでした。その後もゴール者は続き、8名の選手がゴールメイクとなりました。その後はコンディションが弱くなっていったこともあり、残念ながらゴールする選手は現れませんでした。


N2リーグはチャレンジから遅れること30分後にスタート。この時点ではまだまだ高度も取れて低い位置からもしっかりとした上昇があったためか、オープンクラスで参加のNo.5中村選手が低いながらも果敢に攻める飛びを見せます。これに続くのが今年絶好調のNo.26中島選手とNo.16関根選手。テンポ良く動いては上げ、動いては上げを繰り返すこのグループは集団から一つ抜きんでていました。この日のコンディションは前半は低いところからもしっかり上がって、しかも沖に出てもあまり沈まない状況。徐々に雲が覆ってきましたがその状況はしばらく続き、それを感じて動けた選手がゴールできたのではないか?と思っています。
レースの方は、抜きつ抜かれつを演じた中村選手と中島選手がダム横から帰ってきて最後のB27を取るために上げ直しているところを100m程度高い高度で戻ってきた関根選手がスルーしてファイナルグライドに入ったところで最高潮を迎えました。テイクオフで見ていた私(競技委員長)にも、関根選手の
「もらった!!」
と言う叫びが聞こえてきました。関根選手を追った中村選手、中島選手の追随も叶わず、トップゴールは関根選手。トップスピードのある中島選手が途中で中村選手をかわして2位、3位に中村選手となりました。
その後、女子トップとなったNo.51田前選手がタンク上の低いところから粘りの上げでファイナルグライドに入り見せ場を作りました。
N2リーグはゴール者6名(オープンを含めると9名)と言う結果となり、こちらも後半の条件失速に大きく影響されてしまいました。



チャレンジリーグ、N2リーグ双方とも、ゴールできなかった選手は必要以上に大事に行こうとしたか、或いは上げ過ぎたのが原因ではないか?と思います。今回のようなコンディションでは、見た目は曇っていて渋そうであっても、実は意外と沈まないとか、低いところから上がっていることがあります。
そんな場合、自分勝手な判断はせず、今起きている現象を素直に受け入れて、コンディションが良いうちに動いておくとか、沈まないコースを集団で動いておくとか、タスクの序盤戦により多く駒を進めることができるかが分かれ目になることが多いです。
キープハイが基本なのはその通りですが、だからと言っていつまでも動かないのではレースになりません。今回ゴールできなかった選手のみなさんは、そのような点も考えて練習されてはいかがでしょうか?

結果

ジャム勝・サマーカップは今年もしっかりと成立しました。コンディションは尻下がり気味になったものの、選手は最後まで諦めずにフライトしてくれました。
チャレンジリーグもN2リーグもしっかりとゴール者を出しての成立は、競技委員長として誇らしかったです。また、タスクコミッティーのベストな判断でタスクを調整できたことが、結果的にコンディションとタスクが距離的にも時間的にもマッチングしたのだと思います。選手の成長を感じられた出来事でもありました。

チャレンジリーグは圧倒的な速さで飯田選手が優勝を飾りました。女子は獅子吼に続いて谷藤選手が優勝となりました。チーム戦は「なまず」が優勝です。

N2リーグは、ゴールこそトップだった関根選手ですが、LOポイントの差で中島選手が優勝となりました。女子はこちらも獅子吼に続いて田前選手が優勝となりました。オープンクラスでは、その中島選手を翻弄した中村選手が優勝となりました。チーム戦は「KPS」の優勝です。

チャレンジリーグ総合

優勝 538飯田 剛成 Gradient-Aspen5

準優勝 508阿部 耕治 Nova-Sector

3位 529荒金 正之 Gin-Carrera+

4位 503松岡 茂 Nova-MENTOR5

5位 517谷藤 幸子 Advance-SIGMA10

6位 504斎藤 光秋 Niviuk-ARTIK3


チャレンジリーグ女子

優勝 517谷藤 幸子 Advance-SIGMA10

準優勝 512富重のぞみ Nova-PHANTOM

3位 540八子 文恵 Nova-MENTOR4


チャレンジリーグチーム戦

優勝 なまず(飯田、荒金)

準優勝 今井浜(谷藤、斎藤、岩野)

3位 SSAポンポコリン(松岡、富重、有吉)


N2リーグ総合

優勝 中島 義雅 Ozone-ENZO3

準優勝 関根 順 Ozone-ENZO3

3位 田前 英代 Niviuk-ICEPEAK7

4位 平松 久 Niviuk-PEAK4

5位 芦田 智昭 Nova-TRITON2

6位 河野 美樹 Niviuk-PEAK4


N2リーグ女子

優勝 田前 英代 Niviuk-ICEPEAK7

準優勝 河野 美樹 Niviuk-PEAK4

3位 小森さちよ Niviuk-ICEPEAK6


N2リーグ チーム戦

優勝 KPS(中島、清水、青柳)

準優勝 とちおとこ(関根順、谷藤)

3位 Team-C(小森、吉田)


N2リーグ オープン

優勝 中村 浩希 Niviuk-PEAK4



ジャム勝・サマーカップ2018は2日目に見事成立し、何事もなく終えることができました。選手のみなさんの頑張りに敬意を表しますとともに、いつも今大会を若さと明るさで支えてくれている福井県立大学の学生諸君に感謝申し上げます。また、エリアの堀校長にも大変お世話になりました。
来年もまた、ジャム勝らしいコンディションで素晴らしい競技ができるように今からお祈りしておきたいと思います。
でも、来年はちゃんと晴れ予報で、実際も晴れてほしいと思うのは、私だけじゃないと思いますので、みなさんも祈ってくださいね~!!